仕事をはじめて、河井財閥の令嬢、河井 美奈と付き合い始めて約1ヶ月が経つ頃、
久しぶりに幼馴染からの電話がきた。
「もしもし?」
「おっ!類。ひさしぶり!」
「あきら?何?」
「お前さ・・・用事がないと電話したらダメなのかよ!久しぶりなのによ・・・。」
あきらはため息をつきながらそう答えた。
確かに、久しぶり。でも・・・
「でも、あきらや総二郎が電話してくる時は、何か理由があるときでしょ?」
「まぁ、そうかもしんねぇけどよ、久しぶりくらい言えよ!」
「久しぶり。・・で、何?」
俺の態度に苦笑をしているあきらを想像する。
「類・・・お前、週刊誌見たか?」
「何の?」
「お前と美奈が仲良く手、つないでるところ載ってるぜ。」
司やあきら、総二郎にはこの前、パーティがあったときに美奈を紹介し付き合っていることを伝えた。
「そう・・・。別にいいんじゃない?」
俺は適当に答えた。
「類・・・美奈と付き合ってる理由、教えろよ。絶対、何か理由あるだろ?」
F4の中で一番みんなの事を分かってるあきらには、隠してもきっとばれてしまうんだ。
「このお見合いをするときに同時にはじめた三ヶ月間の仕事を任された。その仕事が終わるまで、美奈と付き合えば、これから見合い話はしないって父さんが言ったから・・。」
「やっぱりな・・。前に、付き合ってること聞いたとき、絶対理由あると思った。類・・お前、まだ、牧野のこと好きだろ?」
受話器の向こう側の親友が鋭い質問を俺に投げつけた。
「・・・好きだよ。でも、牧野が居なくなったのは・・・俺のせいだと思うから・・・。」
「類のせい?」
まだ親友達にはあの日の夜の事、話していなかった。そして今も・・・話せそうにない。
「うん。」
あきらは俺の気持ちがわかったのかそれ以上聞こうとはしなかった。
「ま、いいけど・・・だけど、今は、美奈の事もきちんと考えてやれよ。美奈はいつか絶対泣く事になるんだからな。」
「わかってる。」
「じゃあ、またな。」
「うん。」
そう言って電話を切った。
俺はベットに入った。
俺はあきらに言われた事を頭に思い浮かべた。
“美奈はいつか絶対泣く事になるんだからな。”
今まで考えた事なかった。美奈の事。
ごめん・・俺は美奈を泣かせてしまう。
だけど俺には何よりも強く想うものがあるんだ。
何があってもそれを忘れる事なんてできない。
それ以上大きなものが現れる事もきっとない。
忘れる事も嫌いになる事もできない。
もう会えるかどうかもわからない。
だけど・・・・それでも・・・
俺は・・・・・・・牧野が好き。
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