会社からの命令で近くの会社に書類を渡しに行った帰りのこと・・・・・。
誰かに腕を掴まれて、その顔を見るとあたしが今、とても会いたかった人。
久しぶりに会う彼は、大人の男になっていて、あたしが知ってる彼とは違うような気になった。
「牧野・・・・・・久しぶり。」
そう言いながら、少し微笑む彼は、やっぱりあの時のまま。
「花沢類・・・・・。」
そう花沢類・・・・・。
「牧野・・・綺麗になったね。」
「ありがとう・・・・・・。」
花沢類と少し話をしていると・・・・・
「類!」
と花沢類の名前を呼んで駆けてくる彼女は、雑誌で見た、噂の花沢類の彼女だった。
彼女と花沢類が並ぶとやっぱり美男美女。
花沢類の彼女とあたしで適当に自己紹介をして・・・・
だけど・・・二人が並んでる姿を見るのが辛くなった・・・・・。
あたしは二人の婚約のお祝いの言葉を言って、二人の前から・・・去っていった。
花沢類・・・・ごめんね、あたしは心から、おめでとうなんて言えない。
そう思っていても、その心を隠して言えていたかな?
おめでとうって・・・・・。
会社への帰り道・・・クリスマス目前の道をあたしは知らぬ間に涙を流しながら歩いていた。
___________
牧野に会ってから店をかえて美奈の話を聞いていた。
俺は・・美奈の会話が一段落したところで、話を切り出した。
「美奈・・・・・ごめん。」
目の前に座る彼女に俺は謝った。彼女は不思議な顔をして俺を見つめる。
「どうして類が謝るの?」
「いまさっきの彼女の事・・・・俺は・・・・」
真実を伝えようとした瞬間、美奈が俺の言葉を遮った。
「彼女の事・・・類は、好き・・・・なんでしょ?」
美奈から、予想もしていなかった言葉が出てきて俺は、びっくりする。
「えっ?」
「ごめん・・・黙ってて。私・・類に忘れられない人が居る事・・・聞いてるの。」
「いつ?」
「類が、皆に私を紹介してくれたパーティーがあったでしょ?その時に・・美作さんから。」
「・・・・・・・・・」
俺は、まだ状況がつかめない。
「あの時は、まだ類のこと何も知らなかったから・・・それに類は、自分から、自分の事、話そうとしないからね。」
「ごめん・・・。」
自分から何も言い出さなかったことに少し罪悪感を感じた。
「類には、忘れられない人が居て・・その人が好きだった。だけど・・・その彼女は類の親友の道明寺さんと付き合っていらっしゃった。類は彼女を支えることに決めた。それからしばらく経って彼女は行方不明になってしまったって・・・聞いたわ。」
「うん・・・。三年くらい前にね・・・。」
「それからもずっと類は、彼女を想ってるだろう。って美作さんが・・・言っててね。彼女の名前は、教えてくれなかったの。会うことがないなら・・・知っていても関係ないから・・ってね。だけど・・・・・もしも、彼女にあったときのために美作さんは、彼女の特徴を述べてくれた。」
「特徴?」
「ええ。彼女特有の、類の名前の呼び方。・・フルネームで花沢類って呼ぶんだって・・。」
美奈はすこし微笑みながらそう答えた。
たしかにフルネームで名前を呼ぶのは牧野だけ。
「そして今日・・彼女に会った。類の笑顔が、私に向けられるどの笑顔よりも輝いて見えた。そして彼女は、類のこと・・・やっぱりフルネームで呼んだわ。」
「・・・・・・。」
「きっと美作さんは、類が彼女にあったとき、私はどうするかを考えとけって言ってたのよ。」
そう言って真剣な顔をする美奈を俺は見つめ返した。
「どうするかって?」
「彼女の事を好きな類を引き止めて・・・私は婚約するか・・・。それとも・・・類を好きな人の元へ行かせるのか・・・・。」
俺は、その話を聞いてドキッとした。
「それで・・・美奈は・・答えを出したの?」
「私は・・・類のこと好きだわ。だけど・・・類は・・・・・。」
その続きはやはり自分から行ったほうがいいと思った。
「俺は・・・・・やっぱり、彼女の事忘れられないんだ。今でも・・・好き。それからこれからも・・・。」
「そう・・・。なら・・・・私は類を応援するわ。」
美奈がそう悲しそうな顔で微笑んだ。
「どうして?」
「私も・・・類と同じような経験をしたことがあるから・・・。」
そう言って寂しそうにする美奈をみて・・・これ以上触れないほうがいいのかもしれないと思った。
「お父様から、言われてるんじゃない?この仕事が終わるまでは絶対に・・別れてはいけないって。」
俺は・・・父さんからの言葉を思い出した。仕事をうまくやる事と、美奈との付き合いも・・・って。
「うん・・・。」
「だったら・・・それまでのあと少し・・・よろしくお願いしますわ。」
美奈は微笑んで、そう言った。
美奈に感謝をした。お見合いの相手が美奈でよかった・・・はじめてそう思えた。
美奈・・・・ごめん。それから・・・・・・ありがとう。
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