司は、仕事帰りで車から降りてきたところだった。外は、あまりにも寒いから、
俺たちは一旦、司の部屋に行くことにした。司は、入っていた会食がキャンセルになって時間がとれるということだった。
「類!どういうことだ?」
司は俺に向かって怒ったように聞いてくる。
牧野と司は三年前、牧野がいなくなったときに別れたと聞いた。でも、それは牧野から一方的に告げられた事で司は、今もまだ牧野を好きなはず・・・。そして・・・牧野もきっと司を・・・。
「今日、仕事で資料届けに行った会社に牧野が居た。俺もびっくりした。だって、牧野、子供が居たから・・・。それで、牧野は結婚してないって言うし、この子の父親、俺には教えようとはしないから・・・たぶん、司と牧野の子かな?と思って、牧野、連れてきた・・・。」
司にそう伝えると、司は牧野の腕の中で眠る子供を見つめた。
何かを考えて、牧野に視線を向ける司。その視線は、とても優しそうな瞳で・・・司の気持ちを思い知った。
「牧野・・・お前、類に本当のこと言ったか?」
司は、牧野にそう聞く。
「・・・・言ってない。」
牧野は消え入りそうな声でそう答えた。
「なぁ、牧野が俺らの前から消えた理由、教えてくんねぇか?」
「・・・・・・傷つくのはきっと、道明寺、花沢類の二人だよ。」
牧野は、悲しそうな顔でそう言った。
「俺は、それでも構わねぇ。」
「俺も、それでもいい。」
司と俺は牧野にそう伝えた。
「傷つけたのは・・・紛れもなくあたし・・・・・。二人の人生、それから西門さんや美作さんの人生も、みんなの人生をめちゃくちゃにしてしまいそうだったから・・・あたしは逃げたの。今から、話すこと・・・本当に真実だからね。受け入れられなくてもいい。嫌われても仕方ない。そう思ってる。だけど、一つだけ、約束して。この子だけは、あたしから奪わないで。」
牧野は苦しそうにそう言いながらも、その子供を見つめる瞳は優しくて・・・・。
「牧野・・・?俺たちは、牧野から話を聞いても何も奪わないよ。俺は、牧野の話、受け止めるから。全て。」
俺は、牧野にそう告げた。
「牧野!俺らからも約束だ。俺らはずっとお前の心配をしてきた。これからは、どこに居るかわからなくなるのだけはやめてくれ。」
牧野は小さく頷いた。それから、話をはじめた。
「・・・あたしが、みんなの前から逃げたのは、この子を妊娠したから・・。その頃は、道明寺はNYで・・・あたしはずっと待ってた。だけど、あまり連絡もなくなってきて・・・。連絡しても、喧嘩になったり・・・。それから、あたしは花沢類と一緒にいたでしょ?」
そこまで言われて・・俺は・・あの夜の事を思い出した。
もしかして・・・・・その子は・・・・・・・・。
「それで、お前らは、関係を持ったってことだろ?」
司が牧野の話を遮って口を挟んだ。
「道明寺・・・ごめん・・。」
牧野が司に謝る。そんな牧野を見ながら司は、俺に視線を向けてきた。怒られると思った。
「類!お前、もう気づいたんじゃねぇ?その子、本当は、誰の子か・・・。どうみても・・・父親にそっくりだ。俺に似てる所なんてあるわけねぇだろ?」
その子をじっと見る司。
「司・・・ごめん。牧野が、司を待ってる姿を見るのが辛かった・・・。俺も、牧野が好きだったから。」
俺は司を見てそう答えた。それから俺は、牧野を見て話を続けた。
「傷つけたのは、牧野じゃない。俺だよ。司と牧野を傷つけた。」
牧野は首を横に振りながら
「花沢類のせいじゃない。勝手に産んで・・ごめん。この子は・・・・。」
「俺と、牧野の子。そうでしょ?」
牧野が小さく首を縦に振った。
「類!牧野!俺は、何も言わねぇ。俺も、牧野を寂しい思いさせてしまったから、お前ら二人が関係持ってしまった。俺のせいでもある。俺は・・・まだ牧野の事・・・諦めきれねぇ。けど、牧野がしたいようにすればいいと思ってるから。じゃあ、俺は、仕事あるから行くわ。話すのにここ使っても構わねぇからな。じゃあな。またな。」
司は穏やかな表情でそう話した。牧野と会うまでの司なら、きっと殴りかかられても仕方ないような事を俺はしたと思う。だけど・・・司が殴りかからないようになったのは、牧野に出会ったから。
「道明寺・・・・ありがとう・・・。本当にごめんなさい。」
「司・・・ごめん・・。」
俺は司に謝って司が出て行くのを牧野と見送った。
それから司の部屋を使うのは避けて、俺たちは喫茶店に行って話し合うことにした。
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